退職願と退職届と辞表はどれを使えばよいのか?書き方や注意点もしらべてみた

退職を決断した時、最初に行うのが退職を申し出る書類の提出です。
退職願退職届辞表と書式がありますが、それぞれの違いや正しい使い方、書類作成時のポイントや、誰にどのタイミングで提出すればいいのかなどしらべてみました。

退職願・退職届・辞表の違いは

見出しには3つ並べましたが、通常は「辞めたいんですけど」とお伺いを立てる退職願か、「辞めます」と通告する退職届を提出することになります。
退職願は、あくまでも意思を伝えお願いする形のものですので、会社側から再考の打診がある場合もありますし、また、承諾・受理される前でしたら本人による撤回も可能です
一方、退職届は、退職の意思を会社に通達するものですので、撤回することはできません
よく考えて使い分けることが必要です。

辞表会社の経営者や役員、そして公務員の人たちなど限られた人が使う書式のようです。
たとえ管理職の部長などであっても取締役など肩書がない場合は一般の従業員ととらえますので、退職願退職届のいずれかを使うことになります。

 

退職願や退職届はいつ頃出すのが一般的か

後任への引継ぎ、あいさつ回り、有給休暇の消化などを考えると、一般的には1~2か月前に直属の上司に提出すると言われています。
ただし、それは本当に一般論であって、退職するすべての人が円満退社ではありません。
セクハラ・パワハラなどを訴えても一向に改善されず耐え切れなくなった場合や、逆に何度退職の意思を伝えても辞めさせてもらえない場合などもあるかと思います。
そのような場合、民法では退職届を提出後2週間で退職できるとしています。

《民法627条-1》
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

 

退職願と退職届 それぞれの書き方

書式は縦書きでも横書でも構わないようです。
また、手書きが望ましいという意見もありますが、最近ではテンプレートなども出回っていますからパソコンで書いても問題ないように思います。
ただし、署名欄だけは手書きにしたほうがいいかもしれません。

退職願・退職届を作成する時のポイント

ポイント1

本文1行目最下段(横書きの場合は右端)に「私事」あるいは「私儀」と記入し、改行して「この度・・・」と続けます。

し‐じ【私事】
〘名〙私人の生活や家族などに関連した事柄。一個人の一身上の事柄。わたくしごと。⇔公事。
わたくし‐ぎ【私儀】
〘代名〙 自称。私個人に関しての意で、多く候文(そうろうぶん)、届け書などで自分の事を言い出すときに用いる。わたくしこと。

出典:精選版 日本国語大辞典 精選版

ポイント2

本文中には以降のスケジュールを明確にするためにも退職予定日を入れます。

ポイント3

提出先宛名の敬称は「」にします。

どの【殿】
( 接尾 )
〔名詞「との(殿)」から〕
人名や官職名などに付けて、敬意を添える。 「山田太郎-」 「部隊長-」 〔古くは、「関白-」「清盛入道-」など、かなり身分の高い人に付けても用いた。現在では、目下に対してや事務的・公式的なものに用いることが多く、少なくとも、目上に対しての私信にはほとんど用いない〕

出典:三省堂 大辞林 第三版

退職願を「事務的・公式的なもの」と考えれば「殿」も使用可能かもしれませんが、年配の人のなかには「目下に対して」使うものととらえている人も多いので「様」を使用したほうが無難でしょう

退職願・退職届の記入例

退職願

縦書きの記入例

横書きの記入例

退職届

縦書きの記入例

横書きの記入例

 

会社都合の勧奨退職や解雇の際の注意点

勧奨退職や解雇の場合でも会社から退職願を提出するよう求められる場合があります。
できれば提出しないほうがいいようですが、どうしても書かなければならない場合には次のような注意が必要でしょう。

  • 勧奨退職の場合
    退職願の「私事、一身上の都合により」の箇所を「貴社退職勧奨により」に変えて作成し、
    提出前に必ずコピーを残す。
    離職票の離職理由が「会社都合」になっていることを確認する。
  • 解雇の場合
    離職票の離職理由が「会社都合」になっていることを確認する。

退職理由が「会社都合」なのか「自己都合」なのかによってその後の扱いが違ってしまいます。
「会社都合」でない場合、雇用保険の求職者給付(失業手当)の条件が悪くなったり国民健康保険の保険料軽減制度が受けられなかったりなど、退職後に不利益を被る可能性があるようです。

 

さいごに

一般的には、退職時に提出する書類は退職願が使われることが多いようです。
提出した後に話し合いで待遇が少し良くなったりするケースもあるようですが、できることなら退職後のトラブルを避けるためにも早い段階で信頼できる上司に相談し、最終的には直属の上司に提出することが重要なようです。

もしトラブルやハラスメントが原因で退職を考えているならば、退職代行サービスを利用しての退職も選択肢の一つとして考えてみてもいいかもしれません。

 

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