見守りサービスやネットワークカメラを使って独り暮らしの高齢者に安心を

先日、久しぶりに「孤独死」のニュースを目にしました。
既に日常化してしまったということなのか、最近はニュースになることも少なくなった「孤独死」ですが、いったいどのくらい発生しているのか、そしてどんな対策をすればいいのか。
あまり考えたくないテーマですが考えておくべきことなのでしょう。

孤独死とは

こどく‐し【孤独死】
[名](スル)
だれにも気づかれずに一人きりで死ぬこと。独居者が疾病などで助けを求めることなく急死し、しばらくしてから見つかる場合などにいう。
出典:小学館デジタル大辞林

国による明確な定義はないようですが、デジタル大辞林は上記のように書いており、他の文献でも概ね同じような解釈になっています。

原因として言われているのは、高齢者のひとり暮らしの増加や地域交流の減少です。特に男性の場合、仕事を通しての付き合いはあっても地域コミュニティーとの接点は少ない傾向があるようで、配偶者を先になくしてしまった場合などは孤独な立場に陥りやすい傾向があるようです。
周囲とのかかわりを持たず一人生活している人の増加で、もし突然の発作などが起きて倒れてしまったとしても長期間誰にも気付いてもらえず、最悪の状態で発見されるケースが増えているということでしょう。

実際どのくらい発生しているのか

公式な統計資料はないようですが、いくつかの民間調査機関では独自の調査をしているようです。

民間の調査機関「ニッセイ基礎研究所」(東京)は11年、東京23区での孤独死者数と全国の人口動態統計のデータを使って、全国の65歳以上の孤独死者数の推計値を出した。「自宅で死亡し、死後2日以上経過」を「孤立死」と定義した場合、年間で2万6821人にのぼったという。
孤独死に詳しい日本福祉大の斉藤雅茂准教授(社会福祉学)は「高齢者の孤独死は、生前に身の回りの衛生管理や他人との交流が欠落している場合が多く、尊厳が保たれた最期とは言えない」と指摘。その上で「問題の規模感を把握し、対策を講じるためにも行政による調査は必要。定義は絶えずブラッシュアップすればいい。国や研究者が一定の定義を示し、地域に近い市町村や警察が連携しながら調査を進めるべきだ」と話している。
出典:朝日新聞デジタル

上記で基準にされている、東京23区での自宅で一人亡くなった65歳以上の人の数ですが、あるニュースによると年間3,000人強、毎日8人以上の方が孤独の中で亡くなっているということでした。男女比では、女性が1,000人強であるのに対し男性が2,000人弱と、圧倒的に男性の方が多い結果だったようです。
そのようなこともあり、内閣府が全国の高齢者に対して実施したアンケートでは、実に4割以上の人が孤独死を身近な問題として認識しているとのことでした。

どんな対策をすれば

これからますます多くなることが考えられる「孤独死」は、決して他人ごとではなくなってきているといえるでしょう。
では、いったいどのような対策をすることができるのでしょうか。

行政のサービスを利用する

多くの市町村では、一人暮らしの高齢者をサポートする独自のサービスを提供しているようですので、お住まいの行政機関の窓口で相談し可能であればそれを利用することでリスクを抑えることができます。サービス内容としては、定期的に訪問してくれるものやホットラインを設置しもしもの時に連絡することで駆けつけてくれるものなど様々です。
一例を挙げると以下のようなものがあります。

  • 見守り訪問事業:東京都豊島区
    定期的なサービスを利用していない65歳以上のひとり暮らし高齢者や高齢者のみ世帯で見守りが必要なかたのご自宅を、シルバー人材センター訪問員が月2回定期的に訪問し安否の確認を行ってくれます。
  • 配食見守りサービス:東京都荒川区
    65歳以上の自立生活に不安のある在宅高齢者のうち、日中における安否の確認の手段がなく身体的状況等により食事の仕度が困難なひとり暮らしの高齢者等に、栄養バランスのとれた昼食の宅配と安否の確認をしてくれます。(食事費用の負担が必要です。)
  • 福祉電話の設置:鹿児島県鹿児島市
    概ね65歳以上の高齢者でひとり暮らし、もしくは寝たきりの高齢者がいる高齢者のみの世帯で、常に生命の安全の確保が懸念される住民税非課税世帯に福祉電話を設置してくれます。(ダイヤル通話料など一部費用負担が必要です。)

公の機関が提供するサービスですので、費用負担があってもそれほど大きな額ではないようです。まずはお住まいの市区町村で、どんなサービスがあるのかをチェックされることをお勧めします。

業者のサービスに契約する

公共機関によるサービスは、地域によりその内容が随分違うようです。
宅食にあわせて日常的にチェックしてもらえるようなものであれば安心感を持てるかもしれませんが、月に数回の訪問でチェックするものや自発的に助けを求めなければいけないものなどでは、不安を完全に払しょくすることはできないかもしれません。
そんな時に有効なのが、セキュリティー会社などが提供するサービスに契約する方法です。
もちろんそれなりの費用が必要になりますが、生活動線にセンサーを設置し異常を見守ってくれたり、もしも何かあった場合すぐに駆けつけてくれたりと充実したサービスが受けられます。大手セキュリティー会社の多くがそういったサービスを提供しており、その数は今後ますます増えていくものと考えられます。
セキュリティー会社などのサービスにつきましては下の記事も併せてご覧ください。

多機能電話やネットワークカメラなどの家電で見守ってもらう

もし離れて暮らす家族がいるのであれば、何らかの手段で見守ってもらうこともできるでしょう。頻繁に顔を見に来てもらうことが一番の安心かもしれませんが、最近では自動で安否確認をしてくれる電話なども販売されていますので、そういったツールを有効に使い、身近な誰かに気にかけていてもらうことでずいぶん安心に過ごせるのではないでしょうか。

例えばシャープ デジタルコードレス電話機JD-AT82CEには「見守りモーニングコール」という機能がついています。
毎日指定した時間に自動でモーニングコールをし、もし電話に出なかった場合には登録先に連絡をしてくれる機能です。

また、最初は監視されているようで抵抗があるかもしれませんが、ネットワークカメラを設置して見守ってもらう方法も有効かもしれません。

パナソニック屋内スイングカメラキットKX-HC600Kには、離れた場所からスマートフォンで屋内カメラを操作し左右360°、上下約90°を見渡すことができたり、あらかじめ録音した声をカメラから再生して呼びかけられる機能などが搭載されています。

これら以外にも、象印が提供するポット使用状況で異常を見つけてくれるサービスや、テレビの消費電力で不自然な状況を検知してくれるサービスなど多くの選択肢がありますので、量販店でそういったものを探してみるのも方法のひとつだと思います。

さいごに

スマホの孤独死に関するニュースを見て少し考えたことを書いてみました。
現在、同居する家族がいるのであまり実感がない部分もありますが、これまで仕事を通して付き合っていた多くの人とは疎遠になり始めているのも事実です。
この先10年・20年を考えると、今のうちからある程度考えて行動していた方がいいのかもしれません。