退職金の平均支給額や算出方法が気になりをしらべてみた

「もし会社を辞めたら退職金はいったいどのくらいでるのだろうか?」
そんなことを考えたことがある人も多いのでは。
今回は退職金の平均的な支給額と算出する方法をしらべてみました。

退職金とは

一般的に賃金の一部を退職時に一時金などにより支払うものを退職金といいます。

退職金は本質的には賃金の後払いであり、終身雇用制を基調とした日本においては永年勤続を奨励する意味もあり広く行き渡っている制度である。

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より抜粋

終身雇用が当たり前だった時代には一般的な制度でしたが近年は退職金制度を廃止する企業も増えており、制度がある企業の割合はおよそ80%(厚生労働省平成30年就労条件総合調査)となっているようです。

 

退職金の算出方法は

一般的には以下のような方法で算出されるようですが、その中でも公務員をはじめ多くの場合⒈のタイプを採用しているところが多いようです。

  1. 退職時の基本給勤続年数を基準にして算出
  2. 役職や職能、社内評価などをポイント化して算出
  3. 他の要素は考慮せず、勤務年数のみによって給付額が決定
例)基本給と勤続年数を基準に算出するタイプの場合
パターン① 【退職一時金】=【基本給】×【給付倍率】

パターン② 【退職一時金】=【基本給】×【勤続年数】 × 【給付率】
・給付倍率とは、勤続年数により「基本給の何か月分」という具合に規定された係数です。
・勤続年数は会社規定の月数を基準に端数月数を切り上げ・切り捨てして計算します。
・多くの場合、給付倍率や給付率は自己都合退職に比べ会社都合退職のほうが率は高くなります。
勤め先の就業規則に退職金規程がある場合そこに書かれている算出方法を使って計算することが一番確実でしょう。

 

退職金の平均的な支給額は

ここでは東京都産業労働局がまとめている中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)を参照し、事業所の規模と最終学歴によるおおよその支給額を表にしてみました。

地域により多少の差があると思いますので参考までに。

従業員数10人~49人の事業所

高校卒業

勤続年数
(年)
年齢
(歳)
自己都合退職 会社都合退職
支給額(千円) 支給月数(月) 支給額(千円) 支給月数(月)
1 19 55 0.3 78 0.4
3 21 157 0.8 226 1.1
5 23 308 1.5 417 2.0
10 28 845 3.6 1,092 4.6
15 33 1,565 6.0 1,962 7.5
20 38 2,507 8.6 3,084 10.6
25 43 3,701 11.9 4,336 13.9
30 48 4,925 14.6 5,679 16.8
35 53 6,148 17.0 6,957 19.2
37 55 6,667 18.0 7,545 20.3
60歳定年 9,379 24.7

高専・短大卒業

勤続年数
(年)
年齢
(歳)
自己都合退職 会社都合退職
支給額(千円) 支給月数(月) 支給額(千円) 支給月数(月)
1 21 81 0.4 98 0.5
3 23 169 0.8 241 1.1
5 25 321 1.4 439 2.0
10 30 905 3.5 1,170 4.6
15 35 1,717 6.1 2,102 7.5
20 40 2,714 8.8 3,364 10.9
25 45 3,951 11.8 4,602 13.7
30 50 5,276 14.5 6,020 16.5
35 55 6,499 16.8 7,374 19.1
60歳定年 9,108 22.7

大学卒業

勤続年数
(年)
年齢
(歳)
自己都合退職 会社都合退職
支給額(千円) 支給月数(月) 支給額(千円) 支給月数(月)
1 23 82 0.4 124 0.6
3 25 196 0.9 287 1.3
5 27 371 1.6 516 2.2
10 32 1,028 3.8 1,327 4.9
15 37 1,921 6.4 2,378 7.9
20 42 3,110 9.2 3,816 11.3
25 47 4,557 12.3 5,217 14.1
30 52 6,057 15.2 6,807 17.1
33 55 7,177 17.1 7,917 18.9
60歳定年 9,792 22.7

従業員数50人~99人の事業所

高校卒業

勤続年数
(年)
年齢
(歳)
自己都合退職 会社都合退職
支給額(千円) 支給月数(月) 支給額(千円) 支給月数(月)
1 19 63 0.3 102 0.6
3 21 202 1.1 274 1.4
5 23 373 1.8 469 2.3
10 28 937 4.1 1,145 5.0
15 33 1,795 7.0 2,104 8.3
20 38 3,147 10.9 3,495 12.1
25 43 4,383 14.0 4,949 15.9
30 48 5,773 16.6 6,534 18.8
35 53 7,501 20.1 8,185 21.9
37 55 7,795 19.9 8,497 21.7
60歳定年 1,082 27.3

高専・短大卒業

勤続年数
(年)
年齢
(歳)
自己都合退職 会社都合退職
支給額(千円) 支給月数(月) 支給額(千円) 支給月数(月)
1 21 64 0.3 104 0.5
3 23 222 1.1 296 1.4
5 25 399 1.8 533 2.4
10 30 1,049 4.2 1,293 5.2
15 35 1,953 7.0 2,323 8.3
20 40 3,260 10.4 3,685 11.8
25 45 4,699 13.6 5,327 15.4
30 50 6,261 16.6 6,998 18.6
35 55 7,817 19.4 8,542 21.2
60歳定年 11,040 26.9

大学卒業

勤続年数
(年)
年齢
(歳)
自己都合退職 会社都合退職
支給額(千円) 支給月数(月) 支給額(千円) 支給月数(月)
1 23 104 0.5 147 0.7
3 25 263 1.1 384 1.7
5 27 482 2.0 678 2.8
10 32 1,284 4.5 1,659 5.8
15 37 2,441 7.6 2,922 9.1
20 42 4,032 11.3 4,623 13.0
25 47 5,940 14.8 6,650 16.6
30 52 7,938 18.5 8,611 20.1
33 55 9,280 20.6 9,911 22.0
60歳定年 12,309 26.9

従業員数100人~299人の事業所

高校卒業

勤続年数
(年)
年齢
(歳)
自己都合退職 会社都合退職
支給額(千円) 支給月数(月) 支給額(千円) 支給月数(月)
1 19 91 0.5 114 0.6
3 21 232 1.2 317 1.7
5 23 393 1.9 529 2.6
10 28 1,011 4.4 1,353 5.9
15 33 1,907 7.2 2,491 9.4
20 38 3,186 10.9 3,946 13.5
25 43 4,823 14.3 5,663 16.8
30 48 6,578 18.3 7,643 21.2
35 53 8,630 21.3 9,790 24.2
37 55 9,372 23.0 10,795 26.5
60歳定年 12,609 28.7

高専・短大卒業

勤続年数
(年)
年齢
(歳)
自己都合退職 会社都合退職
支給額(千円) 支給月数(月) 支給額(千円) 支給月数(月)
1 21 90 0.5 120 0.6
3 23 264 1.3 343 1.7
5 25 438 2.0 593 2.7
10 30 1,085 4.3 1,434 5.6
15 35 2,030 7.0 2,624 9.0
20 40 3,399 10.7 4,219 13.2
25 45 5,292 14.5 6,068 16.7
30 50 7,539 18.7 8,346 20.7
35 55 9,622 22.6 10,572 24.9
60歳定年 12,647 27.9

大学卒業

勤続年数
(年)
年齢
(歳)
自己都合退職 会社都合退職
支給額(千円) 支給月数(月) 支給額(千円) 支給月数(月)
1 23 125 0.6 212 1.0
3 25 275 1.2 443 1.9
5 27 489 2.0 737 3.0
10 32 1,242 4.4 1,698 6.1
15 37 2,409 7.3 3,104 9.4
20 42 4,087 10.8 5,012 13.2
25 47 6,212 14.6 7,200 16.9
30 52 8,745 18.8 9,844 21.2
33 55 10,436 21.3 11,574 23.6
60歳定年 13,428 26.4
勤続年数によっては退職金が支給されない場合があります
東京都産業労働局がまとめている中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)によると、自己都合退職の場合およそ7割の企業が最低3年継続して働かないと退職金が支給されないようです。
それ以外の企業でも、約11%の企業が最低2年、約15%が最低1年となっており、退職金の支給要件に長い在職期間を規定しているケースも多いので確認が必要です。

参照:東京都産業労働局公式サイト

 

退職金にかかる税金

退職金も所得(退職所得)ですので例外なく所得税が課税されます。

(所得税)=(課税退職所得金額)×(税率)-(控除額)
※税率・控除額は課税退職所得金額により異なります。

ただし、退職金(退職一時金)は特別な性質をもつ所得のため、通常の所得とは分けたうえで各種控除額を差し引いて算出します
「退職所得の受給に関する申告書」という書類を作成すれば、退職金から優遇措置を受けた税率で計算された所得税と復興特別所得税が源泉徴収され、原則として確定申告をする必要がなくなります。

 

さいごに

今回は中小企業と呼ばれる企業の退職金についてしらべてみましたが、事業所の規模や最終学歴によって金額が違ってくることが確認できました。
勤続年数が25年を過ぎた時点で支給額が大きく変わる傾向があることもわかりました。

外部サイト案内:国家公務員の退職手当や厚生労働省発表の退職金は下記のサイトを参照してください。
厚生労働省公式HP:令和4年就労条件総合調査 結果の概況
内閣官房公式HP:国家公務員の人事行政/給与・退職手当

 

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