終活を始めて考えることのひとつに葬儀の種類があります。
人生で葬儀の種類について考えたことがあるという人はそう多くないでしょう。だからこそ、これから必ず来る自分の最期のときのため、遺していくことになる大切な人たちの負担を少しでも減らすために、どのような葬儀の種類があるのかを把握し自身の希望を確認しておくことが必要だと思います。
内容によって分けた葬儀の種類
葬儀はその流れや参列者の範囲によって種類分けすることが出来ます。
終活として家族などに自身の最期の希望を伝える場合、それぞれ遺族の負担や費用などが異なりますのでまずはこの分類による形式を考えておくべきでしょう。
一般葬
日本で最も一般的な葬儀の形で、故人の友人や親族・会社の関係者などゆかりのある人々に参列してもらい行われる葬儀形式です。
地域や宗派によってしきたりや流れは多少異なりますが、一般的に葬儀といえばこの一般葬のことを指し「お通夜→葬儀式→告別式→火葬→埋葬」という流れで行われます。
一般葬の場合、参列者を予想し少し大きめの会場を借りる必要があるためその平均費用はおよそ200万円と言われています。
家族葬・密葬
一般葬のように会社関係や近所の人など一般の参列者を呼ばず、親族と親しい友人・知人だけが参列する葬儀形式です。
式の流れは一般葬と変わりませんが、近しい人だけでおこなうため遺族は参列者の対応に追われることなく故人との最後の時間をゆっくり過ごすことができます。
一般層に比べ小規模であることが多く、費用も50万円~100万円と言われています。
一日葬
一般葬で行う「通夜」を省略し、葬儀式・告別式を1日で行う葬儀形式です。
遺族や参列者の時間的・経済的な負担や、高齢者の体力的負担を軽減できるため年々増える傾向にあるようです。
ただし、通夜に読まれるお経と葬儀式・告別式に読まれるそれは異なりそれぞれ意味があるという理由から、1日葬を認めない宗派もあるようですので菩提寺がある場合は許可をとる必要があるようです。
一日で済ませてしまうため30万円ほどから行うことが出来るようです。
直葬・火葬式
通夜・葬儀・告別式などを行わず、安置などをして短いお別れをした後すぐに火葬する葬儀形式です。このとき僧侶に火葬場で読経してもらうこともできます。
通夜や告別式など一般葬で行われることをほとんど省略しますので、最も費用を抑えられ平均10万円~30万円ほどで行うことが出来るようです。
直送も一日葬と同様に菩提寺がある場合は許可が必要です。
自然葬
遺骨を墓地などに納骨するのではなく散骨などの方法で自然にかえす埋葬形式です。
ただし、どこにでも埋葬できるわけではなく法律で地域や場所は限定されています。
自然葬の代表的な例としては樹木葬と海洋散骨(海洋葬)があります。
樹木葬
自然葬の中で最もポピュラーな方式で、遺骨を埋めた地面に樹木を植え墓標としたり、シンボルツリーを植えてその周囲に散骨したりする方式があります。
海洋散骨(海洋葬)
遺骨を海にまく葬儀形式です。
専用の船をチャーターして沖合いで散骨すますが、個人で船を貸しきるか複数組の遺族が合同でチャーターするか、業者にすべてを委託するかなどで料金が異なってきます。
宇宙葬
珍しい葬儀形式として挙げられるのが宇宙葬です。
遺骨をカプセルに入れ、ロケットによって宇宙に打ち上げるもので、民間のベンチャー企業などにより行われているようです。
自由葬
後に出てくる無宗教葬と同意で使われることが多い言葉です。
このようにしなければならないといった決まり事がなく、故人や遺族の意思を最大限尊重し自由な形式で行う葬儀です。
代表的なものに音楽葬がありますが、それ以外にも様々な葬儀を行うことが可能です。
宗教によって分けた葬儀の種類
終活において内容による分類とあわせて必要であれば考えておきたいのが宗教による葬儀方式の分類です。決まった信仰があればそれに沿って葬儀形式を選ぶことになるでしょうし、そうでない場合も希望があればそれを家族などに伝えておく必要があるでしょう。
仏式(仏式葬儀)
仏教式葬儀ともいい、日本の葬儀の90パーセントはこの方式です。
一般葬の「通夜→葬儀式→告別式→火葬→埋葬」という流れは仏式葬儀ではほぼ共通で、会葬者が細かくしたお香を額にあて香炉に落とす焼香という行為も仏式葬儀の特徴です。ただし、仏教には多くの宗派がありますのでそれによっては焼香の回数も違うようです。前の項で書いた一日葬や直葬も宗派によっては認められていないようですので、自身がどの宗派なのかなど事前に確認する必要がありそうです。
神式
日本古来の宗教である神道の葬儀です。故人の御霊に守護神となってもらうという意味合いから神葬祭ともいいます。
神道において「死」は穢れたものという認識から、神社ではなく故人の自宅か斎場で行われ、仏式で行うお焼香の代わりに玉串を奉上するなどの特徴があります。
キリスト教式
キリスト教徒の葬儀で聖書の朗読や讃美歌の斉唱など仏式葬儀とは全く異なった様相の葬儀で、故人が所属していた地域の教会などで行われます。仏式と同様にカトリックとプロテスタントなど宗派の違いによって内容が少し異なるようです。
神道と異なりキリスト教では「死」を穢れたものとしないため、葬儀は故人が神の下へ導かれていくことへの祝福という意味を持つようです。
無宗教葬
自由葬やお別れ会などとも呼ばれる、宗教的な決まり事などを気にせず自由な形式で行う葬儀です。故人が好きだった曲を演奏しお別れする音楽葬や会食しながら故人をしのぶレストラン葬など葬儀場など会場の許す範囲内であれば故人や遺族の意思を希望によりどのような形式で行うことも可能です。
主催者によって分けた葬儀の種類
葬儀の主催者によってもその種類を分類することが出来ます。エンディングノートに記入するなどして希望を伝えるような種別ではないと思いますが簡単に確認しておきます。
個人葬
故人の遺族が主催する葬儀で日本で最も割合が多い葬儀形式です。
遺族が費用を負担し、故人の配偶者や長男が喪主や施主を務めることが一般的です。
社葬
社長や役員が亡くなった場合などに会社が主催者となって行う葬儀形式です。規模の大きな社葬ではまず家族葬(密葬)を行い、後日改めて遺骨になった故人を偲ぶ本葬(骨葬)を行うのが一般的です。
合同葬
故人の遺族と会社が共同で主催したり複数の企業や団体が合同で葬儀を主催する葬儀形式です。
団体葬
故人とゆかりの深い団体が葬儀を主催する葬儀形式です。
市民葬
市などの自治体が主催する葬儀です。死亡届を出す際に非常に安い費用で申し込むことができます。
福祉葬
生活保護を受けている世帯の家人が死亡し喪主に葬儀費用を負担することができない場合などに葬祭扶助を受け行われる葬儀形式です。福祉事務所で申し込むことができます。
さいごに
葬儀というと僧侶がお経を読んで参列者がお焼香をしてといった形が当たり前だと思っていましたが、最近では個性的なものなどさまざまな種類の葬儀があるようです。
参列者の規模や流れなど、その内容や費用の違いによってそれぞれメリットやデメリットがあるようですので、故人や遺族の希望にあった葬儀を行えるよう終活のひとつとしてすこしずつ調べておくことも必要でしょう。